データ・統計

都道府県の犯罪統計、数字の正しい見方

犯罪件数の多い少ないを都道府県で比べるとき、件数そのものを並べても正確ではありません。人口あたりの指標の意味と、データの限界についてまとめました。

#犯罪統計#治安#データ活用

「○○県は犯罪が多い」「△△市は治安が良い」という話を耳にすることがある。でもそういった情報がどのデータに基づいているのか、数字をどう読めばいいのかを知らないまま受け取っていると、印象だけが残って実態とずれてしまう。

件数の比較には意味がない

都道府県の刑法犯認知件数を並べて「東京は○万件、島根は○千件だから東京は治安が悪い」とはならない。東京には約1,400万人が住み、島根には約65万人しかいない。人口規模がまるで違うのに件数だけを比べても、何も分からない。

使うべき指標は**「人口10万人あたりの認知件数」**だ。人口規模の影響を調整することで、地域ごとの水準を比べられるようになる。

2024年(令和6年)の数字で見ると、全国平均は人口10万人あたり約590件だ。東京は677件で、大都市にしては全国平均に近い水準。北海道は442件と低め。大阪は970件超えで、この指標では高い水準に見える。

ただし、この数字でもいくつかの限界がある。

「認知件数」の意味と限界

認知件数は「警察が把握した(認知した)事件の数」だ。実際に起きた犯罪がすべて含まれるわけではない。被害を届け出なかったケースは含まれないし、警察が把握できなかったものも当然カウントされない。

たとえば、被害者が届け出をためらいやすい性犯罪や家庭内暴力は、実態よりも数字が低くなりやすい。逆に、軽微な犯罪でも届け出率が高い地域や時代は、数字が上がる傾向がある。

「認知件数が低い = 犯罪が少ない」ではなく「認知件数が低い = 警察が把握している犯罪が少ない」というのが正確な理解だ。

都市部の数字は昼間人口に引っ張られる

東京や大阪のような大都市は、居住者以外に毎日膨大な数の通勤者・観光客が流入する。人口あたりの犯罪統計は「住民人口」を分母にしているため、昼間人口が多い都市は実態よりも低めに出ることがある。

逆に言えば、「数字の上では平均的に見えるが、実際には多くの人が集まる地域だ」というケースもある。数字はあくまで一つの参照点として使う。

このサイトでの確認方法

このサイトの各都道府県の統計ページでは、警察庁が公表した2024年の刑法犯認知件数と、人口あたりの数字、全国平均との比較を確認できる。「やや少なめ」「平均的」「やや多め」という3段階の目安も示しているが、これは20%の差を基準にした機械的な区分であり、地域の優劣を示すものではない。

数字は引っ越しや旅行の参考にすることができるが、「この地域は危ない」という結論を出す道具として使うものではない。一つの情報として、ほかの情報と合わせながら判断してほしい。

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